男性不妊外来

MALE INFERTILITY

男性不妊外来について

当クリニックの男性不妊外来は、静岡市の生殖医療専門クリニックである俵IVFクリニックの不妊治療の男性部門から派生しました。
開業以来、十年以上にわたりお子様を望まれる方々のお力となるべく診療を行ってきた俵IVFクリニックの診療経験をベースに、「男性が通いやすいクリニック」をコンセプトとした、ゆったりとした採精室、手術室を完備し、プライバシーに配慮した建物の構造と診療のフローを整えています。
センシティブなお悩みもお気軽にご相談いただけます。

男性不妊症とは

不妊症の原因は女性側にあると思われがちですが、WHOによると原因が男性のみにあるものが24%、男女ともに原因があるものが24%と報告されており、約50%は男性に原因があると言われています。男性不妊は、決して珍しいことではありません。

男性不妊症とは

男性不妊症の原因

男性不妊症の原因は、造精機能障害・性機能障害・精路通過障害の大きく3つに分類されます。

男性不妊症の原因

造精機能障害

造精機能障害とは、精巣で精子を作る力が低下して、射精した精液中の精子の数や運動が低下している状態で、男性不妊の原因の約80%を占めています。そのうちの半分は原因不明(特発性造精機能障害)で、3~4割は精索静脈瘤が原因です。すなわち、精液検査で精液中の精子が少ない(精子減少症・乏精子症)、精子の動きが悪い(精子無力症)などの所見がみられた場合、3人に1人くらいは精索静脈瘤が原因であるということになります。

性機能障害

性機能障害による不妊の割合は、男性不妊の原因の約15%です。性機能障害には勃起不全(ED)と射精障害(EjD)があり、男性不妊に占めるその割合は近年増加傾向にあります。特に、腟内射精障害が増加しており、問題となっています。

精路通過障害

精路通過障害とは、精巣で精子が作られているにもかかわらず、何らかの原因で精子の通り道(精路)が閉塞するか生まれつき欠損していて、無精子症や高度乏精子症となる病態です。

男性不妊症の症状と治療
疾患名治療法
造精機能障害 精子がうまく作れていない 精子減少症
精子無力症
・薬による治療
・生活習慣の改善
・サプリメント
・漢方薬
精索静脈瘤 精巣や精索部に瘤ができ、造精機能が低下 顕微鏡下精巣静脈低位結紮術
非閉塞性無精子症 精子の通り道は塞がっていないが精液中に精子が認められない状態MD (micro)-TESE(顕微鏡下精巣内精子回収術)
精路通過障害 精子の通り道に問題がある 閉塞性無精子症 精子の通り道が塞がれている ・精路再建 (精管精管吻合、精管精巣上体吻合)
・MESA (精巣上体精子吸引術) ・Simple-TESE (精巣内精子回収術)
性機能障害 性交を行うことが難しい※改善され、造精機能に問題が
なければ自然妊娠も可能
勃起障害(ED) ED治療薬 ※精神的な要因がある場合はカウンセリングによる治療も有効
射精障害 性交渉で射精ができない:膣内射精障害 ・薬による治療
・カウンセリングによる治療

男性不妊症の検査

男性不妊外来では、問診、外陰部の視触診、精液検査、血液検査(ホルモン検査)、超音波検査によって、男性不妊症の診断を行います。

問診

男性不妊の原因となるような既往歴、生活習慣などの聴取を行います。また、性機能障害に関する質問紙を用いて、勃起や射精の状態を調べます。

視触診

外陰部の視触診では、精巣の大きさや精索静脈瘤や精巣腫瘍の有無を確認します。

精液検査

精液検査は最も重要な検査で、精液量、精液1mLあたりの精子濃度、運動率、直進率などを測定します。精液検査の所見は測定ごとのばらつきが大きいため、基本的に検査日を変えて2回以上行います。

血液検査

血液検査では、精子の形成に関与する各種ホルモン値を測定します。無精子症や高度乏精子症の場合は、染色体検査や遺伝子検査を追加で行います。

超音波検査

超音波検査では、精巣の大きさを正確に測定し、精巣の石灰化や腫瘍の有無、精索静脈瘤の有無を調べます。

男性不妊症の治療

造精機能障害・精路通過障害

精子減少症・精子無力症の場合、原因によって治療方針が異なります。精索静脈瘤がある場合、手術が治療の第1選択となることが多く、手術により約70%の症例で精液所見が改善します。

原因がはっきりしない場合は、禁煙、射精回数が少ない場合は増やす、睡眠不足を解消する、長風呂やサウナ浴を控えるなど生活習慣の改善、抗酸化剤などのサプリメント、漢方薬などで対応します。

無精子症の場合、非閉塞性無精子症では、顕微鏡下精巣精子採取術(microTESE)を行います。当院では日帰り手術で行っており、精子回収率は約40%です。

閉塞性無精子症では、精路再建(精管精管吻合、精管精巣上体吻合)が可能な場合は聖隷浜松病院へ紹介し、それ以外のケースは当院で精巣上体精子吸引(PESAまたはMESA)、精巣精子採取術(simple TESE)で、精子を回収します。

採取した精子は、俵IVFクリニックで凍結保存し、後日顕微授精に使用します。

性機能障害

EDに対する治療の第1選択は、PDE5阻害薬(バイアグラ、シアリスなど)です。EDに対する治療は基本的に自費診療ですが、2022年4月からは,EDによる男性不妊の患者へのPDE5阻害薬処方は保険適応となりました。治療効果も8割以上と高く、多くの方が恩恵を受けています。

一方、射精障害による男性不妊の場合、治療が難しいケースも少なくありません。腟内射精障害では、マスターベーションの方法に問題のあるケースが多く、カウンセリングやマスターベーターを用いた射精指導、行動療法を行います。

当院の男性不妊外来の特徴

  • 男性不妊症の専門医(=泌尿器科医で生殖医療専門医)である今井伸医師が診察から治療・手術までを手がけます。
  • 患者さんの身体への負担軽減を考慮し、日帰り手術を行っています。
  • 精索静脈瘤の診断と手術が院内で完結できる静岡県でも数少ない施設の一つです。手術は合併症が少なく治療成績が良い顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術を採用しています。
  • 俵IVFクリニックと連携し、夫婦、カップルで並行して治療が可能です。
    患者さんの同意が得られればパートナーの方の診療情報を俵IVFクリニックと連携します。男性側の治療によって不妊が改善すれば女性側の治療が不要になり、負担の軽減につながります。

ご予約

下記予約ページにて受診項目「男性不妊外来」をご選択いただきご予約ください。

料金のご案内

男性不妊外来における各種料金のご案内です。
- 別途処方料等がかかります。
- 保険診療の場合は「3割負担」の料金を表示しております。自費診療の費用は一部を除き保険点数×10+税となります。
- 実際のお支払い金額は、多少増減することがございます。

保険診療

項目内容費用備考
初診 診察、超音波検査、精液検査、血液検査(FSH・LH・PRL・TTE) 4,500円
再診診察のみ
※再度検査が必要な場合、別途費用がかかります
250円
検査精液検査350円
染色体検査(Gバンド法)10,000円
Y染色体微小欠失(AZF)検査12,000円
薬・漢方治療薬 クロミッド 1か月分450円
漢方 補中益気湯 1か月分1,600円
手術精索静脈瘤低位結紮術片側42,000円~両側の場合、費用はおよそ2倍
精子回収術経皮的精巣上体精子吸引術(PESA)42,000円~
精巣内精子回収術(Simple-TESE)42,000円~
顕微鏡下精巣内精子採取術(micro-TESE)片側82,000円~両側の場合、費用はおよそ2倍

自費診療

項目内容費用備考
検査DFI検査14,850円
ORP検査17,600円